クバナの歩き方(31)

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 オヤジご自慢のボロボロのアメ車で、新市街の5つ星ゴージャスホテル「Melia Cohiba」に到着。一応ご機嫌な「オヤジと彼の愛車」を、ホテルのドライブウェイで記念の1枚を撮影してみたりもした。一歩足を踏み入れると、指折りの高級ホテルとあってロビーも広々としており、マンハッタンの豪華ホテルと何ら変わりない。逆に何か味気ない気さえする。取りあえずチェックインのためカウンターに向かい、洗練されている受付嬢(どういうワケか全員女性スタッフ)に応対して貰った。カチャカチャ、パソコン端末を軽やかに打つ音が聞こえる。いきなり受付嬢のうなり声「もお〜全然、ダメだわー!」。何か起こっているらしいことは分かった。「あのねー、今、停電なのよー。アナタたちのチェックインが全然できないワケ、分かる? だからさー、暫くの間、後ろのソファででも腰掛けて待ってて」とのこと。「ハア〜?」と言いたいところを堪えて、渋々引き下がった。やれやれ。今日1日しかナイのに……。f0077769_16574264.jpg今日はこれから即、新市街を探索する予定なのだが、一体いつになったら、電気が来るのかさえ分からず、どんどん不安は募る。受付嬢の説明にはなかったが、この日の暑さも異常なほどで、ウナギ上りで上がる気温のため、ホテル内のエアコンをガンガンに使用した結果、こんなコトになった模様。それと、どうやらホテル内部を一部改装中とかで、その作業中、電気使用量がパンクしたとも思われる。約10分ほどで呼び出され「あのね、取りあえずのお部屋をあげるコトにするわね」との返事。「取りあえずの部屋って……?」とは思ったが、「約30分後に、もう1度、チェックインカウンターに戻って来て、ちゃんと手続きするから」と言われ、ご指定の部屋の16階へと向かった。ま、ずっと荷物片手にニッチもサッチもいかない状態でロビーで待たされるよりはマシではある。う〜ん、結構いいんじゃない?この部屋。さすが5つ星。しかし、30分間を取りあえずの部屋でダラダラ待つのも嫌なことだが、何より辛いのは、この取りあえずの部屋が禁煙ルームだったことだ。「オイオイ。こんな中途半端な状態でタバコ1本吸えないなんてマジかよー」てな調子で、少々怒っている連れの表情を何とかすべく、私は部屋を飛び出し、クリーニングレディの詰所を探した。1人の若いレディを廊下で見つけて、何とか事情を説明(もちろん彼女はスパニッシュを話す)すると、理解してくれた様子で「ハイハイ。コレ使って」とガラスの灰皿をくれた。「1603号室の禁煙ルームなんですけど」と何度も繰り返したが、それも百も承知なようで、「うん、うんオッケーね!」とニッコリ。5つ星でも結構、いい加減なんだな、と緊張がとけた。灰皿片手に部屋に戻ると、連れが「下から電話があって、今すぐ来いってさ」と、伝言のみ。「そのくらい、お前が行けよー」という表情は、おくびにも出さず、何も言わず階下へ。受付嬢は「どうかしら今のお部屋? あそこでよかったら、そのままチェックインにしますか?」ということで、可もなく不可もなく「はい。お願いします」と相成り候。ウエルカムドリンク券などを貰い、いそいそと部屋へ戻る。連れに報告を終え、早速ドリンクでも飲もうということで、2人して階下へ。同ホテルは色んな設備が整っており、レストランでの日本食はもちろん、葉巻きクラブなどもある。プールサイド横のバーに陣取り、チケットを見せて、コーヒーとエスプレッソを取りあえず注文。もちろん、オーダーを取りに来たウエートレスには「チケット使用の有無」も抜かりなく聞いた。昼時の時間がとっくに過ぎていたため、どこのレストランやバーも人は疎らで、ウエイターやウエートレスもほっと一息ついたところのようだった。注文のコーヒーがやって1口飲んだところで、どうやら同バーの店長らしき人が「ウエルカムドリンクのチケットは使えない」と言いに来た。疲れと暑さも手伝ってか、何だか、もう説明するのも面倒で、どうなってもイイ気がして「うん分かった。払うからチェック持って来て」と言うと、途端に彼は笑顔に変わり「軽食メニューとかいる?何か食べる?」と聞いて来た。ウンザリしている場合ではない。早くこの場から立ち去り、残り少ない時間を有意義に使わなくては、と気持ちを切り替えて席を立った。
 同ホテル周辺は、言うなればNYのパーク街みたいなモンで整備された道路には街路樹が青々と茂り、道路沿いは各国の大使館が延々と立ち並んでいた。地図を片手につき進むが、地図でみると近いと思っていた目的地が意外と遠く、歩いても歩いても目指すビルの頭すら見えて来ない。不安と暑さでクタクタになる。(次号に続く

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メモ:今回までの合計金額=$1673.89
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CUBA AIR =$322.00/カンクン〜ハバナ(往復)
US AIRWAYS =$354.89/ラガーディア〜カンクン(往復)
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Telegrafo =$172.00(1人分/3泊/旧ハバナ宿泊)
Melia Varadero=$230.00(1人分/2泊/バラデロビーチ宿泊)
Melia Cohiba =$95.00 (1人分/1泊/新ハバナ宿泊)
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キューバでの遊興資金=$500.00(445ペソ)
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2008年2月15日号(vol.160)掲載
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# by sgraphics | 2008-02-11 17:05 | キューバの歩き方/2006

January, 25. 2008 vol.159

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vol.159/表紙「SUPER BOWL XLII」
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2008年1月25日号(vol.159)掲載
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# by sgraphics | 2008-01-24 03:28 | バックナンバー

クバナの歩き方(30)

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 目覚めると、空に晴れ間が出ているもののシトシト小雨が降っていた。いよいよ台風到来か。雨足が弱いうちに何とかハバナ地区に戻りたい。最後のブッフェでたらふく朝食を平らげて、午前中にチェックアウト。ホテル前からタクシーで、来た時と同じ長距離バスViazulの停車場にいくと、結構な人だかりが出来ていた。だんだん雨が強く降り出し、午前11時40分発のバスは満杯で走り出した。
 午後2時35分ハバナ到着予定のバスは、市内に入るとアチコチで止まり出した。乗客が希望する場所に落としてくれるようだ。地元の地理に不案内な我々は、一体、どこで、降りれば一番宿泊先のホテルに近いのかすら分からない。当初、終着までノンストップだと思っていたので特に気にもとめなかったが、そこからタクシーに乗るなら近い方がいい。何度目かの停車中、取りあえずバスのアテンダントに、ホテル「Melia Cohiba」に行きたい旨を伝えると、どうやら、今すぐ降りろ、ということだった。降りてから、どうすればいいなどのインフォメーションはもちろんナイ。連れに降りるよう告げて、バスの横っ腹から荷物を取り出していると、我々のすぐ後ろにニヤニヤした恰幅のイイ派手なおやじが立っている。「Melia Cohibaだろ〜、任しとけ。さあ、オレ様の素晴らしい愛車に乗りなよ!」。どうやら、一瞬のうちに、このオヤジとバスのアテンダントとの間で商談が成立していた模様。ま、どうせタクシーに乗るつもりだったから、と案内された彼の車に乗り込む。市内は雨も全く降っていなくて、気温もウナギ上りだった。f0077769_2473550.jpg
 自慢するだけのことはあって、このオヤジの車は飛切りのアメリカンクラシックカーだった。よくもまあ、このポンコツで走っているもんだと感心しながらも、車内をキョロキョロ見回す。映画アメリカングラフティさながらの外観はピカピカに磨かれ心惹かれるモノがあっても、車中はやはり頂けない(写真)。メーターももちろん着いていない白タクだ。ま、何事も経験だから、多少暴利な値段を要求されても仕方ない。海沿いのメルコン通りを走っていると突然、車窓から星条旗が何本も大きく掲げられているビルディングが見えた。「えっ?こんなんアリなん?」と驚いてオヤジに聞いてみると、アメリカ大使館だと教えてくれた。ビルの前には軍服を纏った兵士たちが銃を肩に提げて佇んでいる。アメ車がご自慢のこのオヤジは「オレはアメリカは嫌いさ」と、さりげなく付け加えた。
 しかし、何か腑に落ちない。国交もないのに、お互いの大使館は必ず存在する。私が今住んでいるニューヨークのマレーヒルにもキューバ大使館(レキシントン街の37と38丁目の間)がある。ちょっとウサン臭い感じの薄暗いビルで、人っ子一人、出入りするところを未だかつて見たことはない。国旗が目に付くところにあるワケでもないし、気にとめなければ何も知らずに通り過ぎるまでのビルだ。行きがかり上、この前を通りかかる度に思うのだが、ビルの東南の角にある「警備員ボックス」(昔の日本の電話ボックス程度の大きさ)に、必ず1人こっぽり入って座っていて、何やら見張っている。ここでビザ発給手続きなどの業務があるワケでもないし(特別の場合を除いて)、パスポートの更新手続きをしてくれるハズもない。かといって、キューバに亡命したい人が命かながら訪れて、助けを乞うところでもモチロンない。じゃあ一体、毎日、何を守っているのだろう——。(次号に続く

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CUBA AIR =$322.00/カンクン〜ハバナ(往復)
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Telegrafo =$172.00(1人分/3泊/旧ハバナ宿泊)
Melia Varadero=$230.00(1人分/2泊/バラデロビーチ宿泊)
Melia Cohiba =$95.00 (1人分/1泊/新ハバナ宿泊)
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2008年1月25日号(vol.159)掲載
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# by sgraphics | 2008-01-24 02:48 | キューバの歩き方/2006

2008年/年賀状

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# by sgraphics | 2008-01-01 18:59 | 年賀状シリーズ

新年明けましておめでとうございます。

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本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。sumiyo
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# by sgraphics | 2008-01-01 14:50 | 年賀状シリーズ

December, 14. 2007 vol.158

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vol.158/表紙「原田洋二郎」
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2007年12月14日号(vol.158)掲載
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# by sgraphics | 2007-12-15 07:03 | バックナンバー

クバナの歩き方(29)

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 今夜のディナー予約をしたレストラン「Fuerteventura」までには随分時間があったので、私は1人、ホテルを抜け出して、すぐ近くにあるというショッピングプラザ「ラス・アメリカス」まで歩いて出かけた。期待はしていなかったが、閑散としていて客も疎ら。店の人たちにも商売っ気がなく、どの店にもTシャツやタオルなど、在り来たりな土産物が軒先にブラ〜ンとかかっているだけだった。値段を交渉するため、店の扉を開ける気すらしない大きなショッピングモールだったが、モールの通路に品々を広げて商売している屋台には手作りのブレスレットやネックレスなどが並べられてあって、ここが一番、買い物客で賑わっていた。他にも、重厚な扉で威圧している「高級葉巻き店」には相変わらず客が入っていて、皆、宝石のように、ガラスのケースに祀られた「コヒバ」を眺めている。ハバナ旧市街にあるコヒバ工場の直営ショップで買うよりも、この店の方が一段と高級感が増している。じっくり見回っても小1時間も持たないショッピングモール。さして用事も見つからないのでそそくさとホテルに戻った。
「どうだった?何かあった?」と連れが訊く。どうやら、モールに関心があるようだ。結局の所、モールはすべて高いし、敢えて欲しいとも思わなかったので私は手ぶらで戻り、ホテル1階で出品している土産物屋でチェ・ゲバラの黒のTシャツ(写真)を自分用に1枚買って、渋々部屋に戻っていた。「あのさー、ほら、皆が水着の上から腰に巻いている布って…。う〜ん、分かるかなあ? あ〜ゆ〜感じのヌノって、モールにあったあ?」。連れは、どうやらパレオのことを言っているようだ。もちろん、どの店にもパレオなどなかった…と、私は思う。各店内に入って探していないから、有ったかどうか自信はないが、万一有ったとしても、どうしようもナイ、使えない柄で、しかも高額という最悪な土産物になっただろう。しかし、何故アンタがパレオ? 全くイメージがつかない。何を思ってパレオ? と一瞬、己の耳を疑ったが、呼吸を整えて一応、オウム返しに訊いた。「布? ひょっとしてパレオのこと? う〜ん、なかったと思うけど…。で、一体有ったとして、どうすんの?パレオ?」。このギモン、不味かったかも知れない。連れは少し間を置いて「えっ? あぁ…。自分で使う…」と、1オクターブ高い声で言った。えっそっ、そんなバカな…? とは思ったが、ま、彼女か誰かへのお土産だろうことは私だって察しが付く。しかし、男の人って、ホント何にも知らないんだなあと、今さらながら思った。
 奴はイーストビレッジに住んでいて、セントマークスを肩で風切ってギャルズと闊歩することが自慢だったりする40過ぎの気恥ずかしいオヤジである(端から見て)。多分オヤジは、連れ歩いている若いギャルズ以外、何も見ていないんだろうな、と思った。イーストビレッジに限らず、NYの至るところで「パレオ」はよく目にする。しかも安価で、柄や色もめちゃくちゃ選べるほど、半端じゃなくホント豊富だ。こんなクバナの片田舎のモールで、高くて大柄で品の悪いパレオを(もし有ったとして)ゲットして、ホイホイ鼻の下延ばしてギャルズにプレゼントしたとして、一体、誰が喜ぶだろう。そんな既得な女性は、彼の周りには…というか、NYにいない。例えクバナ土産として貰っても、セントマークスで買って貰った方が余程イイ品物が手に入るから、素直に喜べない、演技なしでは「ありがとう」が言えない困ったギフトである。私は一言「パレオならセントマークスで買った方がいいよ」と告げて、そそくさとバスルームに籠った。f0077769_5522812.jpg
 晩餐のため一応、袖があるマシな服装で階下のレストランに向かった。場違いも甚だしい。キャンドルライトにピアノとバイオリンの生演奏。何組もの男女のカップルが正装でテーブルに着いている。何だか笑える。ワインを勧められるが2人ともノーだ。同店は、すべて3コースメニューになっているものの、多分、ブッフェのメインダイナーと同じキッチンで調理されたモノが、ここでは1皿ごと工夫して盛り付けられ、大袈裟に運ばれて来るだけのことで、味は変わらない。バイオリン奏者が各テーブルを回って「何かリクエストしてください」と告げる。どのテーブルにも花とワイン、そして見つめ合って食べているカップルたち。もお〜〜ったく。何とか早く、この場所から消え失せたい我々は、食後のコーヒーすら頼まず、3コースメニューをわずか30分以内で全て平らげ、周りの客はもちろん、ウエイターやウエイトレスをもアッと驚かせて引き上げた。キャンドルライトに照らされてムーディーなナイトを余儀なくされた我々は「黙って早く食べて、デザートはブッフェに行こう」「うん。分かった」。たった、この二言だけである。(次号に続く

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2007年12月14日号(vol.158)掲載
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# by sgraphics | 2007-12-15 05:53 | キューバの歩き方/2006

November, 30. 2007 vol.157

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vol.156/表紙「2007 GIFTS」
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2007年11月30日号(vol.157)掲載
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# by sgraphics | 2007-11-29 17:00 | バックナンバー

クバナの歩き方(28)

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 台風急接近の情報もどこ吹く風。ハバデロビーチ2日目もピーカン天気だった。朝からしっかり食べて今日1日、しっかり海で遊ぶ。連れは「灼けると肌に悪いし、シミとかできるから…」と、常にTシャツを離さず海でも着込んでいる。ったく、なんていう奴だ、40過ぎの男のクセに。今さらシミなど気にしていられない私は、こんがり焼けて水着のカタチもハッキリくっきり状態になりつつある。肌を焼くことに全く抵抗感のない人生を送ってきた。美白なんていうのも考えたことはナイ。できれば白く戻らないよう、年中常夏、高気圧気候で暮らしたいとすら思っている。連れは自分が見つけたお気に入りのスポットに「隠れ処」を見つけたらしくニヤついている。「○○ちゃん、ちょっと来てみて。こっちこっち!」と得意そうに案内してくれるが、そこは一旦、海に出て、しずしず波打ち際を岩場に沿って歩き、突然、岩場の中にポカンとできた空間だった。
 大きな岩と岩に囲まれた畳1枚分くらいの広さのスペースに、一体誰が持ち込んだのか、横たわれる白いデッキチェアが1脚ポツンと置きざりにされてあった。「ボクの聖域にようこそ!すごいでしょ、ココ!」と子供みたいに目を輝かせて得意満面にデッキチェアに横たわってみせてくれる。「ほらほら、○○ちゃんも横になってもいいよ」と宝島のように接してくれるが、足下には見たこともナイ虫やら海藻が蠢いている。ここで驚いて大げさに「すごいじゃん、すごいじゃん」とキャッキャと喜んであげないとイケナイ…とは思いつつ、足下の虫たちが恐くて、気持ち悪く、早くこの場から逃げ出したい方が先に立つ。胸の内はギャア助けてえ〜と、連れにしがみつきたいほどの気分だが、そこは震えながらも「ふ〜ん、ここねえ〜」と何でもない素振りをしてそそくさと海へと急ぐ。洞窟にこそなっていないものの、岸壁から見ても海側から見ても、その岩場の空間の存在は見えず、確かに隠れ家的スポットであった。f0077769_16131996.jpg
 ずっと海の中で遊んでいるのも退屈になってきたので、私は1人、本格的にプールサイドに戻って甲羅干しすることにした。大抵、カリブ海にあるリゾートホテル内の各プールサイドには、プールに体を半分浸しながら、または水中に設えられたスツールにちょこんと腰を掛けてドリンク類が愉しめるバーがある。ご多分に漏れず、このホテルにもあってバーは大盛況だ。「何か飲もうかな」と思って行くと長蛇の列。「何事?」と中を覗くと、バテンダーが大きなナタを振りかざして汗だくになっている。25年くらい昔、インドネシアで一度試したことがあったが、決して「美味しい」には程遠かった記憶がある「椰子の実ジュース」だ。まだまだ青くて若い椰子の実をパンパンと手際よくナタで切り落とし、中のジュースがこぼれないよう上手く飲み口を作ってストローを差して出来上がり。1個につき結構時間がかかるし、重労働だ。このバーテンダーは一体、1日に何個割っているんだろう。次から次へと椰子の実ジュースをオーダーされ、目を合わすことなく黙々と下を向いたままナタと格闘している。少々申し訳ない気がしたが、2個注文して、多分未だ隠れ家にいるだろう連れの元へと運んだ。
 道々ちょっと試しに飲んでみたが、やっぱり青臭くて生温くて、全然上手いシロモノではナイ。「ま、雰囲気、雰囲気」と、然程喜ばれないのを覚悟して岸壁から連れを探す。いたいた。相も変わらず空きもせず、海にポッカリ浮かんでいる。連れは私の姿を見つけるや否や、ナイことに大きく手を振ってこっちを見て笑っている。「?!?」。どうやら私の手許の椰子の実ジュースが見えているようだ。「○○ちゃんナ〜イス!これ、これっ!チョーいい感じ」とめちゃくちゃ喜んでいる。意外だ。意外過ぎる……。ちょっと苦笑いしつつ顔を引きつらせつつも、一瞬私は連れの喜びように気をよくしてしまった。どうせ期待外れに終わって、後でイヤ〜な顔をされることを知りつつも、連れがこんなに喜んでくれたのは10数年来初めての出来事だった。「隠れ家&椰子の実ジュース」。連れは30年以上ぶりにキャッキャと童心に返って、コバルトブルーに輝く海の中で笑っている。(次号に続く

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Telegrafo =$172.00(1人分/3泊/旧ハバナ宿泊)
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Melia Cohiba =$95.00 (1人分/1泊/新ハバナ宿泊)
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キューバでの遊興資金=$500.00(445ペソ)
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2007年11月30日号(vol.157)掲載
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# by sgraphics | 2007-11-29 16:13 | キューバの歩き方/2006

November, 16. 2007 vol.156

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vol.156/表紙「Lunchboxes Auction」
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2007年11月16日号(vol.156)掲載
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