カテゴリ:ガイドブックにない島( 10 )

vol.10/BONAIRE - the Netherlands Antilles <最終回>

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■遠浅で真っ白な砂浜
 島で唯一の遠浅の海岸「ソルボン・ビーチ」は、ウインドサーフィンのメッカだ。強い貿易風と、果てしなく続く浅瀬のビーチは、サーファー天国とあって世界中から集まってくるという。「2001年までは大会もあったんだけど、海の保護のために今は見送られているんだ」とロバートさんが話してくれた。
 この海岸の水面は50m先まで腰丈より下にある。砂浜は「白砂青松」とでも言うべき、白くて細かい砂浜と青々とした南国の木に恵まれ、真っ青な海に見事にマッチしている。遥か遠くの沖で子供たちがキャッキャッと水遊びに勤しんでいても、親たちはプールで遊ばせているような感覚で、白い砂浜に寝転がって、こんがり肌を焼いていた。f0077769_736262.jpg
 午後4時。半日ツアーが終わりに近付き、ホテルへと向かう途中、案内してくれているロバートさんが、実はボネールの地元バンドのミュージシャンでもあることが分かった。
「ボネール独特の音楽ってあるんですか?」の質問がきっかけとなって、自分は地元の7人グループバンド「ピエドラ・ディ・ボネール」のメンバーで、最近レコーディングしたばかりだと少し照れながら打ち明けてくれた。ホテルに着くまでの間、「是非に!」と頼んで、車中でオリジナル・テープを聴かせてもらった。カリブによくあるノリのいいテンポで、ラテンの陽気なリズムにも似た感じ。う〜ん「思わずカラダが揺れてしまう」サウンドとでも言おうか。「えへへ、これはね、バイフェオ(ゴー・アウエー)という曲で、自分たちのオリジナルさ」と少々自慢げだ。f0077769_7351015.jpg
 カーステレオからは、島の人々の懐の深さと陽気さを肌で感じるかのように、ゆったりとした心地いいリズムが流れる。首を前後に振ってリズムを取りながら運転するロバートさん越しに、車窓から雄大な自然が見えた。
「いつか、また、きっと来よう——」。いつまでも遠くを眺めていた。(完)

写真上=ファインダーを向けるとむじゃきに集まってくる人懐っこい島の子供たち

TRAVEL INFORMATION
●時間:アメリカの東部夏時間と同じ
●空港:フラミンゴ国際空港
●通貨:オランダ領アンティル諸島ギルダー
●気候:年間平均気温27度、年間平均水温29度。年間平均雨量52.8cm
●服装:基本的にカジュアルで日中は短パン、半袖で十分。夜は念のために1枚羽織る長袖があれば重宝する。日射しが強いので帽子とサングラスは必ず携帯すること。日焼け止めクリームも忘れずに
●飲酒とギャンブル:アルコール類の飲酒は18歳以上から、カジノでの賭けは21歳以上
●運転免許:アメリカの運転免許、または国際運転免許で可能
●電圧:110〜130V、周波数は50Hz。リゾートホテルでは220Vも使用可能
●言語:パピアメント語とオランダ語。英語、スペイン語も広く話される
●入・出国:パスポートと帰りの航空券があれば入国可能。出国の際に、空港使用料(US$20)が必要
●政府観光局事務所:1-800-BONAIRE、または212-956-5912、212-956-5900
10 Rockefeller Plaza, Suite900, New York, NY
http://www.tourismbonaire.com/
http://www.bonairepros.com/
http://www.bonaire-travelguide.com/

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*BONAIRE - the Netherlands Antilles シリーズは、読売アメリカ社に勤めていたころ、2002年発行の「夏の旅行特集号」の取材のためにライターの大塚良美ちゃんと一緒に訪れた時のものです。よって、その特集で掲載した原稿と写真を流用しています。この場を借りて良美ちゃんにお礼申し上げます。
*また同シリーズは、ニューヨークのフリーペーパー「tocotoco」のコラム「ガイドブックにない島」のタイトルでも2006年8月11日号(vol.128)から2007年1月26日号(vol.137)まで10回シリーズで掲載しました。
*何かの機会でボネールに行かれることがありましたら、ぜひ参考にしてくだい。

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by SGraphics | 2007-01-25 07:36 | ガイドブックにない島

vol.09/BONAIRE - the Netherlands Antilles

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■目を疑うピンク色の湖
 島北部最大の見どころは「ワシントン・スラグバイ国立公園」=写真下=だ。f0077769_1463366.jpg1万3500キロの規模を誇る同公園は1969年、オランダ領アンティスの島の中で一番初めに国立公園に指定されたという。園内には189種の野鳥が生息し、バードウオッチングには絶好の場所だ。この他、15キロと22キロ、2つのトラッキングコースや5つのダイビングのエントリースポットなどもある。園内でアロエの管理を担当している親子(父親と息子)に、ロバートさんが気安く話しかけている。どうやら顔見知りのようだ。「彼はね、島で有名なミュージシャンなんだよ」と教えてくれた。
 車は南部へと向かう。サボテンの山が多い北部に比べて、南部はガラッと雰囲気が変わる。向かう途中、遠くに、白い山の連なりが幾重にも見える。常夏の島に積もる雪?何だか違和感がつのる。f0077769_1481768.jpg
 そこは、島の約10%を占める製塩会社「カーギル・ソルト・ボネール」(本社:アメリカ、ミネソタ州)の塩田だった。これら山のふもとには、幻想なる「ピンクの湖」=写真上=が果てしなく広がっていた——。
 製塩は、350年以上も続く、この島の重要な産業で、天日に干して、精製している。年間44万トンが生産され、ほとんどが海外輸出用だという。高さ十数メートル以上はある塩の山々は、太陽に反射してキラキラと輝いている。ピンク色の湖面にそびえ立つ真っ白な山々。視点を変えて振り向くと、すぐ横にターコイズブルーの海が見渡せる。なんだか異次元の世界に連れて来られたような錯覚に陥る。ロバートさんが山から塩の塊を取り出して見せてくれた=写真左。f0077769_1471627.jpgよく見ると、結晶の粒がかなり大きい。舐めてみたら、当然のことながら塩辛かった。あまり人影もなく、どこか寂しげな塩田は、鳥たちの絶好の場所でもあるらしい。ミサゴ、サギ、グンカンドリ、鵜などが、エサとなる海老を求めてこの塩田に集まって来る。中でもフラミンゴが群れをなしてやってくるのがバードウォッチャーたちの醍醐味らしく、隠れたスポットとしても有名らしい。(次号に続く

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by SGraphics | 2006-12-13 14:09 | ガイドブックにない島

vol.08/BONAIRE - the Netherlands Antilles

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■天然のバイアグラ?「イグアナ・スープ」
 島の北部に向かうと一層自然は深くなる。島最大の湖「ゴート・レーク」に近付くと、水面にピンクの点が見えた。さらに側まで寄ってみると、鮮やかなピンクのフラミンゴが水辺で休んでいる。このボネールには、約1万5000羽のフラミンゴが生息し、島のシンボルにもなっているという。海水と淡水が混ざったこの湖は、島内に2か所あるフラミンゴ群生地の1つ。時には水辺全体をピンク一色で覆うほどの群れが見られるらしい。フラミンゴはとても臆病な鳥で、写真を撮ろうとする人間の気配を感じると、例え300mくらいの距離があったとしても、すぐに飛んで逃げてしまう。想像していたよりも小さい鳥だが、何とも言えない天然のピンクは森に囲まれた湖を、そこだけ夕焼けに包み込んだようなお伽話の世界に染め上げている。f0077769_1592837.jpg
 ここで見られる野生動物はフラミンゴだけではない。黒や青、紫といったクッキリした色のトカゲは、ポンと小石を投げると、エサと間違えるのか、どこからともなくウジャウジャ出て来る。こんな大量のトカゲ、一体どこに隠れていたのかと驚いているヒマはない。30匹以上のトカゲが足元をめがけてやって来るので「きゃあ〜、きゃ〜」こっちが逃げ回る。
 そして、忘れてならないのがイグアナだ。家畜が育たず、食糧のほとんどを輸入に頼っているこの島で、唯一、島民の食卓に欠かせないタンパク源となっているのがイグアナだ。島の名物「イグアナ・スープ」=写真上=は、最もポピュラーな料理で、あのグロテスクな風貌を想像して、口にするのをためらうかも知れないが、試してみると、以外と美味。肉は赤身で味は牛肉。しかし、肉と言えども骨が多くて、骨と骨の間の肉をしごいて裂いて食べる、といった感じだ。街のレストランでは、あのゴツゴツとした表皮を薄皮を取り除いて、身の部分だけを調理してサーブしているが、島民はビタミンが一番豊富な表皮も食べるという。強いイグアナは地元の人曰く「天然のバイアグラ」だそうだ。f0077769_1510763.jpg
 ロバートさんに「今日、イグアナが見られるとラッキーだね」と言われた。ついつい観光慣れしている私たちは「きっと、どこかの名所で捕獲して飼育されているイグアナを、オリ越しに拝見できるのだろう」とタカを括っていた。そんな所はこの島にはない。甘かった。野生のイグアナは、太陽が顔を出すと、木陰から人目につく道端までやってくるという。ツアーの途中、目のいいロバートさんが発見!保護色に変化するため、探すのは容易ではない。それでも木の下にいる体長1mくらいの1匹を見つけた。恐竜の小型版のようだが、色は灰色っぽく、逃げ足が早い。うぅ〜〜。昨晩、コレを食べたのかと思うと、胃がピクッとなった。(次号に続く)
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■ダウンタウンの海岸沿いにあるシーフードという意味の地元レストラン「ZEE ZICHT」=写真左=で、名物の「イグアナ・スープ」=写真上=に挑戦した。中身はニンジン、コーン、ネギ、ズッキーニとイグアナの肉の煮込み。同店ウエイターのパチさんオススメの「カリカリ」(19ギルダー/写真右上)は、白身魚のワーフー(WAHOO)を天日干しにして、身をパラパラ状態にしたものをタマネギやピーマンなどの野菜と一緒に炒めた主菜で、魚のピラフといった感じ。この他、揚げたエビにバナナソースをかけた甘い一品「クレージー・モンキー・シュリンプ」(34ギルダー/同右下)や「コンク貝のフライ」(9ギルダー/同右中央)、「セビーチェ」(9ギルダー)など、一度試してみたくなる料理がそろう。(次号に続く

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by SGraphics | 2006-11-22 15:11 | ガイドブックにない島

vol.07/BONAIRE - the Netherlands Antilles

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■不思議な触感アイス!
 海岸線を北上し、サバデコというオランダ人が居住する高級お屋敷街を通り抜ける。この辺りからだんだんとアリゾナ風の砂漠になってきた。背の高いサボテンの山にアロエなどの植物が生息している。風に飛ばされそうな格好をして立つ「ディビディビ」の木(写真上)も、やけに多くなってきた。f0077769_1323585.jpg
 降水量が少なく、年中貿易風が吹き、乾燥しているこの島では、農作物が育ち難く、農業は行なわれていない。そのため、この砂漠に生えた自然の植物が生活に役立っている。
 例えば、サボテンは「カクタス・スープ」として地元の人たちは頻繁に食べる。アロエも、昔から医療品として役立ち、1960年代に使われたというアロエを煮出す「鉄の釜」(写真左下)が砂漠の真ん中に保存されている。ほかにも、オイルになるという「カストロの実」(同左上)やダイ・ウッド、ブラジル・ツリーといった染料や漢方に使用される植物が豊富にある。昔も今も、島の人々は自然と密着して生きている。
 海岸線から内陸へ向かう道に入る。次に案内されたのが、15世紀に形成されたというボネール最古の街「リンコン」(Rincon)。毎年4月に行なわれる「リンコン・デー」と「シマダン・フェスティバル」には、アルーバやキュラソーからも多くの人が訪れ、ボネールの伝統文化や収穫を祝うイベント。シマダン・フェスティバルは島最大の収穫祭で、地元住民たちが1番楽しみにしているお祭り。歌や踊りで1日中賑わうらしい。そんな最古の街の畑道の突き当たりに、ちょっとした名物アイスの店がある。自家製の味を30年以上守り続ける「プリスカ」という名のアイスクリーム屋だ(写真右)。f0077769_1332424.jpgごく普通の民家といった店構えだが、バニラ、ココナッツ、ストロベリー、ミックスフルーツ、ピスタチオ、ピーナッツと種類は豊富で、地元で大人気なのも頷ける。値段はレギュラーサイズ・カップが2.60ギルダー。バニラとココナッツを注文すると、オーナーのシャーマンさんが冷凍庫から取り出してくれた。早速、一口舐めてみる。かなり噛みごたえのあるアイスだ。しかも美味しい。シャリシャリとした舌触りで、暫くするとネトネトしてくる。味は濃厚で病みつきになりそうな触感だ。シャーマンさんは「先代は亡くなったけど、秘伝の味はミルクにあったんだ。うちは昔からずっとスウェーデン産のミルクを使ってたんだけどね、狂牛病があっただろう、あれから大変さぁ。何とか伝統の味を守ろうとベネズエラ産で頑張っているんだ。でもね、マシンはアメリカ製だよ」と笑いながら、奥にあるピカピカに磨かれた機械を見せてくれた。まだ午前中だが気温はグングン上昇し、摂氏30度は超えている。肌がジリジリと灼けていく音が聞こえるようだ。この殺人的な暑さを、素朴なアイスクリームが少し和らげてくれた。(次号に続く

写真=強い貿易風の影響で島の木はこんなカタチで育っている

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by SGraphics | 2006-11-07 13:03 | ガイドブックにない島

vol.06/BONAIRE - the Netherlands Antilles

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■信号もない島を一巡り
f0077769_2163446.jpg 無垢な自然は海中だけでなく、地上にも残されている。素朴な風景が島の至るところで見られ、高級リゾートより自然派志向のエコロジカルな旅がしたい人にうってつけだ。
f0055491_4402615.jpg そんな魅力を満喫するため、島一周ツアーに出かけた。車で案内してくれたのはボネール観光局(TCB=ツーリズム・コーポレーション・ボネール)のロバートさん(写真)。彼はボネール生まれのボネール育ちで島の隅々まで知り尽している。朝10時にホテルを出発して、まず最初の観光スポット、島一番の繁華街、ダウンタウンの「カラレンディック」(Kralendijk)に向かった。
 街といっても、ほんの数ブロックほどのエリアに、イエローやピンクといったトロピカル色にペイントされた建物や店が数件並んでいるだけだ。何となく、ニューオーリンズのフレンチクォーターの街並みに似ている感じがした。ちなみに、ダウンタウンにあるレストラン以外の店は、すべて朝9時にオープンして午後6時で閉店。しかも正午から午後2時まではシエスタのように、ランチ休憩で閉じられている。夜は海岸沿いのメーンストリートを除いて、人通りも少ない。
 島をドライブしていて気付くのは、信号がないこと。ロバートさんに聞くと、この島には1基たりとも信号はないそうだ。ローカルバスも一応、走ってはいるが、時刻表などはなく、いつ来るか分からないらしく、平日は待っていれば、いつかは来るが、週末ともなると、1本も走らない時があるため全く当てにならないという。よって島の住民は車か自転車が足変わりらしい。ちなみに島で目にする車は、すべて日本車。なぜか?と尋ねたら「日本車が一番だからね」との回答のみ。「でも、車がなくても小さい島だから、どこへでも歩いていけるさ」とのこと。なんとものんびりした国だ。(次号に続く

写真=島一番の繁華街「カラレンディック」の店並み

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by SGraphics | 2006-10-27 02:17 | ガイドブックにない島

vol.05/BONAIRE - the Netherlands Antilles

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■ほかにはナイ「自然の海」
 海に続く桟橋の階段をちょっと降りて、手を水の中につけてみる。少し冷たく感じる。水温は摂氏25度くらい。エントリー方法は、陸地から入る「ショアダイブ」だ。
 フィンを履いて、水中メガネに唾をつけて指でこする。レンズの曇りをなくしてから装着したのだが、なかなか思い通りにピッタリ顔に吸い付かない。ビシッと固定し、顔に密着しなければ、すぐに海水が入ってきてしまうので、少々焦りながらも、キチンと合体できるまで何度もやり直した。BCジャケットの装着は、インストラクターのペペさんが水の中で手伝ってくれた。さあ、いよいよ潜る。
 ゆっくりと桟橋の階段から離れ、やっと水に浮くことができた。浮力ベストの空気を抜いて潜り、まずは呼吸の練習からだ。マウスピースをくわえながら、ボンベから酸素を吸引するのは、慣れていないとメチャクチャ難しい。深呼吸のように、深〜く、ゆっくりと息をしていくうちに、何となくコツを覚えた。海水もマスクの中には入ってこない。ペペさんも脇でしっかり手をつかんでいてくれるので、自信を持ってダイビングポイントに向かうことができた。
 浮力ベストの空気をさらに抜く。いよいよダイビングの開始だ。海底が徐々に砂からサンゴ礁に変わっていく。約10メートルほど泳ぐと、底がなくなったように急に深くなった。水深15メートル。景色が一変し、ブルーやイエローの熱帯魚の群れが、すぐ目の前を悠々と通り過ぎていく。
 チョウチョウウオ、エンゼルフィッシュ、スズメダイなど色鮮やかなサカナたち。地上からは想像すらできない別世界が、ここには存在する。f0077769_1419079.jpg
 サンゴ礁といえば、ピンクの枝のようなサンゴを思い浮かべる人が多いと思うが、ここのサンゴはパープルの長い筒形の種類や黒い岩のような種類だ。もっと深く潜れば、また違ったものが見られるかも知れない。岩には小さなイソギンチャクが密生し、指を近付けるとギュッと口を閉じる。ペペさんが指指す方を見ると、中型のエイが砂の下に隠れていた。
 ボネール周辺の海洋保護区域では、体につけて潜水を助ける重りを、不必要に着けることを禁じている。サンゴ礁に近付き過ぎて、傷つける恐れがあるからだという。またサカナやサンゴに触ること、水中から何か持ち去ること、船が錨を下ろすことも固く禁じている。こうして守られているからこそ、他にはない自然が、ここには息づいているのだろう。
 約20分の夢のような時間があっという間に過ぎた。サカナと一緒に泳いでいる時間は、地上のイヤなこともすべて忘れさせてくれる。このままずっと海中を泳いでいたい気がした(次号に続く)。

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by SGraphics | 2006-10-10 14:20 | ガイドブックにない島

vol.04/BONAIRE - the Netherlands Antilles

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■何といっても醍醐味は「ダイビング」
 潮騒と潮の香りに誘われて目覚める。何だか遠い所に来たんだなとヒシヒシと実感。ホテルの部屋のカーテンを開けると目の前には青い海が見渡す限り広がっていた。浅瀬はエメラルドグリーンで遠洋は紺碧に輝いている。太陽にきらきらと光って揺れる透明な水辺には、小さい魚の群れがすぐそこにある。汚されていない自然はボネールの最大の魅力だ。1971年から国に保護され「ナショナル・マリン・パーク」を形成するディープブルーの穏やかな海は、まさに島の宝。島周辺には世界有数のサンゴ礁が広がり、ダイバーたちを魅了する。f0077769_6212731.jpg
 さて、ここボネール島でハズせないのはマリンスポーツ。中でもスノーケリングは、ごく普通の水中メガネと簡単なフィンさえあれば、目の前の浜辺からいつでも挑戦でき、初めてでも気軽に楽しめる。浅瀬でも珍しいサカナたちと充分戯れることができる(写真左)。島にある各リゾートホテルで、用具や機材、ボードなどのレンタルから講習会(ダイビングの免許「PADI」取得)など、マリンスポーツに関するすべてが備えられている。しかし、何と言っても醍醐味は「ダイビング」だ。早速、朝食の後、ホテル内に併設されている「ダイビング・ハウス」に向かった。
 まず最初「ナショナル・マリン・パーク」に潜るための料金10ドルを支払う。これは国の海洋保護のための費用に充てられるらしい。青色で「ナショナル・マリン・パーク・ダイバー」と書かれたタグを貰ってから、機材をレンタルする。ウエットスーツやフィンなど、何でも一通り揃ってはいるが、日本人女性に合うSサイズやSSといった小さいサイズは数が少ないようだ。ウエットスーツを装着して、水中メガネ、スノーケル、フィン、レギュレーター、重り、BCジャケット(浮力調整ベスト)をバッグに詰めて、エントリー場所(写真下)となる桟橋まで行く。今回一緒に潜ってくれることになったのは、男性インストラクターのペペさん。彼はベネズエラ出身でダイビング歴7年の何よりも海を愛するダイバーだ。ペペさん曰く「手足の指の間に、水かきが生えてきても、可笑しくないくらいだよ」と、毎日毎日、潜っているそうだ。(次号に続く

写真上=浅瀬はエメラルドグリーンで遠洋は紺碧に輝いている

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by SGraphics | 2006-09-27 06:22 | ガイドブックにない島

vol.03/BONAIRE - the Netherlands Antilles

■枯れて痩せた土地、見捨てられた「サボテンが密集する砂漠の島」
 全長39km、島面積285平方km、人口約1万3000人の小さな島ボネールは、年間平均気温摂氏27度。島の名前の由来になった「よい風=BON AIRE」が1日中吹いている。誰もがイメージするカリブ海の「ヤシの木がそよぐ常夏の島」という感じには程遠く、ここは「サボテンが密集する砂漠の島」だ。何だかアリゾナに来たような印象を受ける。これは降水量が少なく、年中乾燥しているためだという。地元の人によると、他のカリブの島々に比べて蚊やハエが少ないのも、カラッとして繁殖しにくいばかりか、強い風でみんな飛ばされてしまうからだという。f0077769_549461.jpg
 島の歴史は、1000年前にベネズエラからインディオたちが渡ってきたことに始まる。1499年、ヨーロッパから人々が入植し、一時はスペイン領となったが、植物が育ちにくい枯れた土壌で、資源も乏しいため、植民地化を断念。1633年、オランダが隣接するアルーバ、キュラソーと共にボネールを統治することになった。奴隷制度が廃止される1862年までは、奴隷として連れて来られたアフリカからの移民たちが、唯一、島の特産物である「塩」の生産に従事していたという。現在でも島の主産業である塩の製造会社のすぐそばには、当時、奴隷が住まわされていた「小さな小さな小屋」が点在する。英語で「RED SLAVE」と岩のプレートに書かれた赤土の小屋(写真下)や、真っ白な海岸の砂に照り返された「白い小屋」(同上)がある。ギラギラと灼けつくような陽射しに照らされ、吹きさらしの海辺に建つ、これら約20の小屋は、土をこねて作られたもので、人間1人が、かがんで、やっと入られるくらいのものだ。ちょうど少し大きめの犬小屋といった程度だ。目を避けたいような痛々しい歴史の爪痕で、平和ボケとも呼ばれる私たち日本人の世代では到底、想像すらつかない哀しい過去だが、島を案内してくれたボネール観光局(TCB=Tourism Corporation Bonaire)のロバートさんは淡々と説明して「近くにある豪邸はハリー・ベラフォンテの別荘だよ、彼を知ってるかい?」と笑った。
 奴隷の小屋は潮風にも時間にも風化せず、昔のまま、強くその姿とどめていた——。(次号に続く

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写真上=強い潮風にも風化せず、昔のままの姿をとどめている「奴隷の小屋」

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by SGraphics | 2006-09-14 05:51 | ガイドブックにない島

vol.02/BONAIRE - the Netherlands Antilles

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■満天の星空とカラッとした暖かい風
 カリブ海の南西に位置するボネール島までは、ニューヨークから飛行機で約7時間。もちろん直行便などはなく、大抵はプエルトリコのサンファン経由で辿り着く。サンファンからは小型のプロペラ機(アメリカン・イーグル)に乗り換えて約2時間程度。
 早朝にニューヨークを経ち、ボネール島のフラミンゴ国際空港に着いたのは夜11時ごろだった。タラップで飛行場に降り立つと、迎えてくれたのは満天の星空とカラッとした暖かい風、そして平屋建ての素朴な空港だった。入国スタンプをもらって、タクシー(乗り合いのバン)で宿泊先のホテル「ディビ・フラミンゴ・ビーチ・リゾート&カジノ」へと向かう。途中。真っ暗で何も見えないけれど、ま間近に聞こえる波の音と、3月なのに半袖でも心地いい潮風がカリブに着いたことを実感させた。
 リゾートホテル群は、島の東側沿岸部に立ち並んでいる。各ホテルとも、ダイビングの機材レンタルなど、マリンスポーツの設備が充実していて、中でも今回泊まった「ディビ・フラミンゴ・ビーチ・リゾート&カジノ」(客室129室)は、ホテル内に「ウォータースポーツ&アクティブ・センター」があり、スノーケリング、ダイビング、カヤック、ヨット、パラセーリング、マウンテンバイクなど多種のアクティビティーが手軽に挑戦でき、とても便利だった。センターでは専属のインストラクターが手取り足取り教えてくれるので、島内にある50以上のダイビング・スポットにも楽々アクセスできる。もちろん初心者用の各種講習もある。f0077769_14332282.jpg
 同ホテルには海が望めるテラス・レストラン「チビチビ」(チビチビはトリの名前)がある。コンチネンタル料理店なので、ここで敢えてカリブ料理を楽しむというより、オーソドックスにアメリカンスタイルで頂くのが賢明だ。ダイビングなどマリンスポーツが苦手という人は、2つあるプールサイドでトロピカルドリンクを片手にのんびり過ごせば、都会の喧噪から逃れて休みに来たんだという実感も湧く。また「スパ」では、アロマ・マッサージやソルト・マッサージなど様々なコースがあり、疲れ切ったカラダや火照った肌を優しくケアしてくれる。日中は楽しめるイベントが目白押しだが、夜はただの闇の島。眠れない人用に「カジノ&バー」もある。が、日本でいう「寂れた温泉街のスマートボール屋」といった程度なので期待は禁物だ。(次号に続く
写真上=「ディビ・フラミンゴ・ビーチ・リゾート&カジノ」のエントランス
写真左=テラス・レストラン「チビチビ」

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2006年8月25日号(vol.129)掲載
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by SGraphics | 2006-08-22 14:34 | ガイドブックにない島

vol.01/BONAIRE - the Netherlands Antilles

f0077769_12202040.jpg ベネズエラの北に位置するボネールは、通称「オランダ領ABC諸島」と呼ばれるうちの1つで、Aはアルーバ、Bはボネール、Cはキュラソーの頭文字をとって、そう呼んでいる。ボネールは誰もがイメージするカリブの「ヤシのキがそよぐ常夏の島」という感じはなく「サボテンが密集する砂漠の島」。日用品からサカナ以外の食材のすべて、といっても過言ではないほど、輸入品に頼っている何もない島だ。しかし、この島の人々の底抜けな陽気さと懐の深さが、そのままのカタチで残されている——。
 時間はアメリカの東部夏時間と同じで、通貨はオランダ領アンティル諸島ギルダー(US$1=1.77NAf)。レストランなど、一般的にどこでもUSドルは通用するが、おつりはギルダーで返される。年間平均気温は27度で、平均水温は29度とダイバーたちのメッカにもなっている。島をグルリと一周するのにも1日あれば十分で、車はアメリカの運転免許証があれば借りられ、ドライブも可能だ。言語はパピアメント語とオランダ語だが、英語、スペイン語なども通じる。パピアメント語の由来については諸説があり、ひとつはスペイン語と原住民の言葉の混合という説、もう一つは17世紀、オランダ領となった時にアフリカの様々な部族から連れて来られた奴隷とヨーロッパ人のコミュニケーションの手段として共通言語を作ったという説。現在も島民はパピアメント語を日常で使っているので耳にすることも多い。(次号に続く
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by SGraphics | 2006-08-09 12:20 | ガイドブックにない島