カテゴリ:キューバの歩き方/2006( 37 )

クバナの歩き方(37ー最終回)

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 朝からのTVのニュースでは台風がいよいよクバナ中部に上陸し、空の便にも幾分影響が出ているようだ。しかし、ここハバナは今日も晴れ渡ったいいお天気で、地元の人々もいつもと何ら変わりなく朝からセッセと働いている。ゆっくり朝食を摂りチェックアウトも無事に済ませて早々と空港に向かおうとロビーを出たら、日本人らしき1人の男性に呼び止められた。お決まりの「地球の歩き方」を片手にたどたどしい英語でオススメの観光名所を教えて欲しい旨を伝えて来た。多分、彼は我々が日本人であってくれることを祈りながら怖々声をかけてきた様子。ちゃんとした日本語でオススメ名所を伝えると、やや安堵した表情で軽く礼を言って街へと繰り出して行った。歳は35、36才といったところか?金縁眼鏡に白いポロシャツをキチンと着こなす至ってマジメな日本人男性だった。バックパッカーや学生にも見えず、かといって会社員ましてや駐在員といった感じでもなく、ましてや共産主義に傾倒している革命輩風でもない。多分、ハワイに行くのと同じ感覚でクバナまでやって来たボンボンの1人旅っていうのが正解だろう。f0077769_212825.jpg
 タクシーで約20分ほどでホセ・マルティ国際空港に到着。台風にそれほど影響がないのか案外空港内はガランとしている。チェックイン手続きのためカウンターに近付くといきなり制止され、まず先に全ての荷物類の検査を受けるよう注意された。後方にある荷物検査機はメキシコで見た「ラップで何重にもグルグル巻き状態」になるシロモノではなく、バゲージを一瞬にして「真空パック状態」のようにする装置だった。へえ〜、と感心する間もなくサッサと促されてカウンターへ。まずは窓口で空港使用(出国)税を払ってレシートを受け取ってから出国審査を受け、そのままスムーズにゲートに向かうよう言われた。少し緊張。空港使用税の支払いはキューバペソ(Cuc25)のみ。
 私が手続きしている間、またしても連れは、最後の追い込みとばかりお土産モノを物色中。Tシャツに帽子と、まるで何かに憑かれた様に買い漁っている。テメエはオバハンかっ!と思いながらも買い物に付き合う。未練タラタラな奴を引っ張って出国審査のブースへ。ブースと言っても安易なパテーションで区切られた一角。当然乍らスタンプはない。この国に入った証はパスポートに何1つ残らなかった。ゲートに向かう途中、一応、免税店らしき店が1軒だけあった。どうやらブランド物も取り扱っているみたいだが、日本人が欲しがる高級ブランド品はなさそうだ。免税店を横目に通り過ぎると、またしても地元のお土産屋がホールで商品を広げている。チラッと連れを振り返ったら、既に目の色を変えてまたもや物色中。やれやれと思い乍らも、私も残り少なくなった最後のペソを使い果たそうとゲバラ風の帽子を買おうか思案中……。連れは某かの紙幣をまだ持っていたらしく両替ブースで米ドルにチェンジ中……どうやらオバハン衝動は終わった様子。私はそれほどペソが残っている訳でもないので帽子を買おうと決めて、財布の中をコソコソ計算していたら、急に横から連れが「え〜、ボクもソレ欲し〜い!」と相成り候。ゴリ押しされて2つ買うハメに。奴にあの帽子を貰った人に言っておきたい。あのチェ・ゲバラ風の★が付いた布製キャップは、他のモノを買うことを諦め、両替することを止めてまで私が買わされた逸品ですから……。残りわずかなコインで地元のスナック袋菓子を2つ買いゲートに並ぶ。
 午後12時55分発、カンクン行き、クバーナエア152便は、来る時に乗った超アンティークな飛行機とはうって変わって、真新しい大型ジャンボ旅客機だった。機体はメキシコに向けて、ほぼ定刻通り、雲一つない青空へと飛び立った——。(完)

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メモ:クバナ旅行の合計金額=$1673.89
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CUBA AIR =$322.00/カンクン〜ハバナ(往復)
US AIRWAYS =$354.89/ラガーディア〜カンクン(往復)
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Telegrafo =$172.00(1人分/3泊/旧ハバナ宿泊)
Melia Varadero=$230.00(1人分/2泊/バラデロビーチ宿泊)
Melia Cohiba =$95.00 (1人分/1泊/新ハバナ宿泊)
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キューバでの遊興資金=$500.00(445ペソ)
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2008年5月16日号(vol.166)掲載
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by sgraphics | 2008-05-16 02:02 | キューバの歩き方/2006

クバナの歩き方(36)

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 漸く、連れがOKを出す部屋も決まり、夜中にゴソゴソと上階の部屋へと移った。シーンと静まり返った廊下、誰も乗っていないエレベーター……、ひょっとすると、このホテルは今日、ガラガラなのかも知れない。一応、騒音のないツインルームの部屋ではあったが、すご〜く耳を澄ませると微かに工事の音はしていた。「ちっ、さっきの部屋と、かかってる絵すら変わりねえ〜よ。これ、カラーコピーした絵かあ?」と、こまめに連れのチェックが入る。どの部屋も部屋の向きこそ違えど、何も変わりないことが分かって少々落胆気味だ。「え〜え〜、さっきの部屋のバスローブの方がよかった〜。なんだよーコレ、えっ半袖かあ〜? ちっ、さっき取っておきゃよかった」と、平然とバスローブを持って帰るつもりにしていることを告げている。「このホテルの管理、ズサンだから、1枚くらい分かりっこねえーよ。いいじゃん1枚くらい……」とバスローブの手触りを確かめている。なぜか連れは異常にバスローブにご執心で、普段バスローブなんか着もしないクセに、とにかく欲しがる「バスローブ癖(へき)」がある。そういや約7年前、私が一時帰国で泊まっていた東京のホテル「ニュー・オオタニ」でも、連れの「バスローブ持ち帰り企て事件」はあった。わざわざ私の宿泊先に泊まりに来てバスローブを持ち出そうと試みたのである。もちろん未遂に終わらせたが……。兎に角、どこの国のどこのホテルであれ、私が予約して私のカード番号を渡しているのだから、私が「万引きした」と思われるのは絶対に心外である。どうしても欲しいと言うなら、ホテルにその旨を告げて、私が、購入して、あ・げ・れ・ば・イイ話である。「欲しいの?」と訊くと「ねえコレ、すごく珍しいと思わない?半袖だよ半袖。ありえね〜よなっ」と笑いながらベッドに寝転ぶ。どうやらバスローブの件は諦めた様子だ。やれやれ。
 多分、深夜1時ごろ。いきなり連れが「あれっ、○○リン、みて、みて!大変だー、火事だっ、ほら火事」。窓からみえる西の方角(旧市街)に火事らしき炎を見つけたようだ。言われるまま、私も窓の向こうを見やると、結構燃え盛っているビル群が見えた。炎は次第に勢いを増し、右左と炎がユラユラゆれて、火柱が次々と近隣に燃え移っているようにもみえる。しかし……、その炎は、単に工業地帯の高い煙突から吹き出ているようにも思える。私たちが泊まっているホテルは超高層で、180度、どれだけ周りを見渡しても高いビル群などはなく、平坦な平屋建ての家屋か、果てしなく広がる真っ暗な海しかない。よって旧市街のまだ先まで、何の隔たりもなく見渡せてしまうのだ。暫くしても一向に炎が沈静化する風でもなく、消防車のサイレンの音すら聴こえない。街は何事もなかったように静まり返ったままだ。「どうやら工業地帯の煙突の炎だな」と結論づけるまで、2人して、暗い街頭すらポツリポツリとしかない「真っ暗で素朴なクバナの街」を黙って見続けた。マンハッタンの超高層コンドミニアムで暮らす日々。毎夜24時間、煌々ときらめくネオンに慣らされている普段の生活からかけ離れた、何だか懐かしい夜空だった。そんなクバナの街ともいよいよ今夜でお別れである。(次号に続く

(写真説明)旧市街のクバナの基点(ゼロ地点)にそびえるホワイトハウスとそっくりな「旧国会議事堂」。高さ98mと本家のホワイトハウスよりもやや大きめに作られているという。大理石がふんだんに使われ床には24カラットのダイヤモンドが埋め込まれているらしい

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メモ:今回までの合計金額=$1673.89
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CUBA AIR =$322.00/カンクン〜ハバナ(往復)
US AIRWAYS =$354.89/ラガーディア〜カンクン(往復)
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Telegrafo =$172.00(1人分/3泊/旧ハバナ宿泊)
Melia Varadero=$230.00(1人分/2泊/バラデロビーチ宿泊)
Melia Cohiba =$95.00 (1人分/1泊/新ハバナ宿泊)
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キューバでの遊興資金=$500.00(445ペソ)
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2008年4月25日号(vol.165)掲載
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by sgraphics | 2008-04-24 09:52 | キューバの歩き方/2006

クバナの歩き方(35)

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 旧市街から新市街へとタクシーで戻る。最後の夜となるホテル「Melia Cohiba」の部屋は確かにゴージャスで、女性用のヴィデの便器も別にあるしバスローブなどのリネン類はもちろん、アメニティグッズも豊富で至れり尽くせりである。連れは相変わらずアメリカのケーブル局にチャンネルを合わせてESPNを観ている。
 その間に、今日こそはゆっくりお湯(バスタブ)にでも浸かろう!と、バスルームに入ってお湯の蛇口をひねるのだが、何だか生温い水しか出てこず、ダダダッと、水の勢いはあるものの到底溜めて浸かれる温度ではなかった。結局、またシャワーだけでサササッと済ませて「もおぅ寒いなあ〜、ちょっと風邪ひいたかな」程度の不快感である。バスルームから出ると、いきなり連れからの苦情である。それは直接私に対してではナイものの、明らかに同ホテルを選んで予約した私に対しての嫌みがたっぷり含まれている。
「あのさぁ〜、どこかの部屋で工事しているらしくて、先からすっごくウルサイんですけど……」。私は水シャワーで冷たくなったカラダを何とか暖めたくて素早くベッドの中に潜り「私、今ちょっと寒くて風邪ひいたみたいだから……後で電話してみる」と応え、いつものような何でも即聞き入れるアテンダントに徹しないでいると、また小言が返ってくる。「ほら、またガンガンやってる……ねえ聞こえるでしょ?」と、全く意に反さず、直ぐにでもフロントに電話しろという口調である。しかしながら、水シャワーしか出ず本当に今寒くて、とても電話でコンプレインできる状態でないことを告げると、徐に受話器を取り上げ、舌打ちとともに自らフロントに電話を架けだした。f0077769_42193.jpg「○○号室だけど、シャワーは水しか出ないし、こんな時間にガンガン工事の音がして全く迷惑だ。ここ5つ星のホテルじゃないの?こんなことでいいのかなあ。ったく、これじゃ眠れない!早く違う部屋に変えてくれ」といった内容だった。どうやらフロントの対応は、空き状況を調べて違う部屋を用意するとの返答だったらしくて、連れは広げっぱなしになっている自分のトランクを黙って片付け始めた。その後ろ姿を見て「どうやら部屋を移るらしい」ことを知り、ようやく暖まってきたベッドから出て着替え直し、私もトランクを片付けることになる。
 待てど暮らせど一向にフロントからの電話連絡がない。あ〜、また奴がキレてしまう…と思ったその時、部屋のチャイムが鳴り、連れが出て行くとポーターらしきボーイがドアの外から「お部屋のご用意が出来ました。お荷物をお運びします」とか言っている。間髪入れず連れが「それ何階?その部屋、どんなタイプ?」と聞いているのが聴こえる。ボーイは「もっと上階の特別スウィートルームでございます。ベッドもキングサイズのダブルベッドをご用意致しました」。連れはただ一言。「ダメ!そんな部屋。兎に角ツインベッドで上階の違う部屋にしてくれ!」と言い放ち、バタンという強くドアを閉める音で、どうやら一回戦は終わった感じだ。
 ともかく早くぐっすり眠られる温かいベッドに在りつきたいと念じながら、また暫し、フロントからの連絡を待つことになった。(次号に続く

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2008年4月11日号(vol.164)掲載
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by SGraphics | 2008-04-10 04:03 | キューバの歩き方/2006

クバナの歩き方(34)

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 旧市街は相変わらず賑わっていてアチコチのお店から楽しい音楽も聞こえてくる。踊り出すほどの雰囲気ではないもののキューバンミュージックはなかなか心地いい。何かを買う予定も欲求もないのだが、今夜でこの国ともお別れかと思うと、何だか切なく、何かしら買っておこうとする観光客根性が騒ぐ。しかし、それっぽい土産屋も既に閉まっていて、諦め心地で夕闇をそぞろ歩く。連れも同じ気持ちなのか、突然、1件の店の前で立ち止まり躊躇している。そんな連れの肩を押すようにして入ったのは、ちょっとイカした「葉巻ショップ」だ。
 もう店じまいしたい感じの店主は、愛想も「いらっしゃいませ」の言葉すらなく、冷やかしだと思ったのか無視を決め込んでいる。連れは余程、葉巻ブランド「COHIBA/コイバ」のパルタガス葉巻工場での失態(私が無理矢理、買いに走らされ、間違っているからと言って私が高い葉巻を買い取らされた件)が気になるのか、真剣にハマキを直視し、店員に一言「コレとコレと、コレ!」と素早く注文。f0077769_6392311.jpg
 商品を見せてくれ!でも、説明してくれ!でもなく、いきなり「全部でいくら?キャッシュで払うから」と太っ腹な日本人を演じている(本当は超ケチ臭いヤツですから、私に対してだけかも知れませんが)。店員が値段を告げると、ヤツはおもむろにキャッシュの束(輪ゴムで巻いて持ち歩いている)から札を出して「釣りはいらねーよ、取っておきなっ」とか何とか……。オイオイお前はドラッグディーラーかっ!こんな所で格好つけても仕方ねーだろっ!これじゃまるで農協のオッサンじゃねえかっ!これだから田舎者って(神奈川県大和市出身らしい)嫌なんだよなっ!と、横で恥ずかしい思いをしながらも、ふと店主の顔を覗いたら、なんと愛想ブリブリ、ニッコリして「ありがとうございます。お客様に粗品ですがコレを差し上げます、どうぞ!」と言って、ちょっとシャレた使い捨てライター(写真左)を1個貰ったりしていた。はあ〜、オヤジはオヤジ同士、国籍を超えて気が合うんだよな。
 しかし、連れは一体、どんだけ焦って買い物したいんだろう?女の私よりはるかに物欲が旺盛でミーハーで、あさはかな野郎であることを再認識した。連れは葉巻で満足したのか、結構機嫌がいい。この調子で何とか最後の夕食にありつこうと考えを巡らすのだが、連れの腹具合も好みも読めず、また嫌な顔をされるのを覚悟して「あのさ〜、また、あのお店、あのイタリアンでもいいかなあ?」。考えるのも面倒だし、連れがマッシュルームのイラストを提示してご希望の品をゲットした店でもあることだし、案外美味しいと気に入っていたのを思い出して恐る恐る訊いたのだが……、意に反して「うん、いいよ」と即答を得られた。案ずるより産むが易しである。
 ほっと肩をなで下ろしてメインストリート、オビスポ通り(Calle Obispo)の角に位置するイタリアンレストラン「Gentiluomo」に再び足を運んだ。程よい疲れと眠気が襲ってくる中、イタリアンはキツイが、まあ、パスタ程度ならと、私は定番のトマトソースを選び、連れはウエートレスに「この前来た時、マッシュルームのイラストを示して注文したんだけど、う〜ん、君じゃなかったかな?キミ、ボクのこと覚えてる?今日も同じピッツア食べたいんだけど、マッシュルームの載っているヤツ作ってね」と、たかだか2回目なのに既に常連さま気分だ。厨房で訊いて来たらしく、ウエートレスが急いで戻ってきて連れに「オーダー承りました」と一言。連れは、またここでも「ほらね!」と王様気分だ。
 ま、そんなに気分が良いならグチをこぼされることなく最後の晩餐も穏やかに過ごせるだろう、とヘンに期待をしたのも束の間。テーブルに注文の品が並んで食べ出して2分経つや否や、いきなり「もう、ったく…、あの〜、スパゲティ、音を立てないで食べてくれませんか、蕎麦じゃあるまいし…ったく恥ずかしい」との苦情だ。
 右手にフォークを持ち、左手に持ったスプーンの腹でクルクルとパスタを丸めて、静かに口の中に放り込め、ということらしい。実際、パスタをそんな風にして食べるアメリカンやイタリアンはいない、と言っても過言ではない。蕎麦のように音を立ててズルズルという食べ方をする方が、スープ(汁)がない分、反って難しい。しかも、音を立てずにスプーンで丸めて食べるほど、大げさなディッシュでもない。通常パスタは、まずフォークに引っかかった分量だけ一気にスルッと口の中に放り込み、ソースとパスタの絶妙なコンビネーションを、舌でじっくり味わってから喉元を通り過ぎ胃に送り込むというのが主流である、ハズ。しかし相手は田舎者の頭の固い日本人野郎。私が黙って従うほか道はない。
 スプーンの腹でクルクルまとめて1口づつ静かに運んで、最悪な感じで何を食べているのかの感覚も味も分からないまま、情けないやら哀しいやら、嫌な感じで兎に角早く時が過ぎるのを待つ。本来なら映画のワンシーンのように「ほんとアンタって、サイテー、サイアク!」と言い捨て、ヤツの顔にコップの水をかけてテーブルをひっくり返し、出て行きたい気分だ。
 ようやく食事が済み、お勘定の段になって連れから「コーヒーいる?」と訊かれ、即座に「要らない」と応えると、連れは自分の分だけのエスプレッソを1つ、ウエートレスに悠々とオーダー。ヤツはどこまで人の気持ちを読まず逆撫ですれば気が済むんだろう。ワザと?なのかなあ〜、と思いながらも、ヤツが飲み終わるまで、じっと我慢の時が静かに流れる。(次号に続く

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by sgraphics | 2008-03-27 12:33 | キューバの歩き方/2006

クバナの歩き方(33)

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  旧市街に向け、タクシーには乗り込んだものの運転手に告げる「行き先」の名所なりが全く思いつかない。うろ覚えな地名を言うのも憚れるが、私は思わず「サンフランシスコ!サンフランシスコ!」と連呼した。以前、旧市街で入ったスパニッシュ・レストラン付近に大きな広場があって、確かその前に、サンフランシスコと書かれた古めかしい教会と思しき建築物があったことを覚えていたので、ハバナの市民なら誰もが知っているだろうと……、しかし運転手は分かっているようで、どうも理解できていないようだ。そうなると、一体、どこへ連れて行かれるのかと不安になる。ない頭にムチ打って次に思い浮かんだのが「アンボス・ムンドス」。ここを、このヘミングウエーの定宿だったホテル名を知らないヤツなんて、モグリだろう…的な思いで告げると、漸く分かってくれたようで短く「OK!」の応えが返って来た。しかし私の頭の中は「アンボス・ムンドスは観光客のメインストリート沿いにはあるものの、入り組んだ場所だし道幅も狭くて車が行き交いするようなところじゃない。到着するまでに相当の時間を要するな。メーター、どんだけ上がるんだろう」などと、ヒヤヒヤもんで財布と相談していた。10分も走ると街の風景もガラリと変わり、エントツが立ち並ぶ工業地帯らしき産業道路に出た。雰囲気からしてダウンタウンに近付いていることがそれとなく分かる。その時、車窓の向こうに十字架が見えた。あれこそが、私が初めに目指していたサンフランシスコの十字架に違いない。思わず「サンフランシスコ!サンフランシスコ!」と指さして運転手に告げると、彼は「サンフランシスコ、OK!」とニッコリしてくれた。
 どうやら、この辺りは主要道路と主要鉄道が交差するようで、ニューヨーク市内でいうところのグランドセントラル付近と言ったところか。駅舎らしき建物の前を通り過ぎてサンフランシスコ前に無事着いた。後にガイドブックで確かめると「サンフランシスコ広場」となっていて、教会と思い込んでいた建築物はサン・フランシスコ・デ・アシスという名の修道院(写真右)だった。まあ兎に角、旧市街のド真ん中に到着したことで、後は勝手知ったる路地裏界隈、気分もイイ。そろそろ晩ご飯の時間だし、クバナ最後の晩餐はゴージャスに行こうと密かに企む。(次号に続く

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2008年3月14日号(vol.162)掲載
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by sgraphics | 2008-03-13 13:48 | キューバの歩き方/2006

クバナの歩き方(32)

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 通称ハバナの新市街と呼んでいるエリアは「ベダード地区」と言われ、この地区の中心はもちろん「革命広場」である。この2月19日、引退表明したフィデル・カストロ国家評議会議長は、毎年正月と5月1日(メーデー)の日にはこの革命広場で演説し、数十万人もの国民によって広場は埋め尽くされるという。その広場へと向かうため整備された街路樹に沿って各国の大使館前を通り過ぎ、小1時間ほど歩くと、いきなり高くそびえる塔が見えた。これが、その革命広場を見下ろすようにして建つ「星形の塔」だ。塔の足下にはホセ・マルティ(1895年に革命党を結成し第2次独立戦争を指導したキューバの英雄)の像が建てられてある。どうやら、ここが観光名所の1つ、ホセ・マルティ記念博物館のようだ。午後4時半に閉館していて、中には入れなかったが、何だか少し重々しい雰囲気であった。革命広場の周りには共産党本部はもちろん、カストロ議長のオフィス、軍のオフィスなどが集まっているらしく、どこに向けるともなしにカメラのファインダーでアチコチ覗いていたら「ノー!フォト、ノー!」と軍服を着た若い2人組の関係者に叱られた。何がイケナイのかの説明はないが、とにかくシャッターは切れない。まさに共産党国家の機密がココにあるんだな、という感じで少々ワクワクもした。視界を左手に移せば、かの有名なチェ・ゲバラのイラストがビルの壁一面に大きく掲げられているビルが見えた。観光ガイドや絵はがきなどでもお馴染みのこのビルは内務省で、夜にはこのチェのイラストがネオンとなって浮かび上がるようにできているらしい。このベダード地区での主な名所はこれだけで、他にコレといった所もなくレストランやカフェなどのお店すらも見つからないし、人影すらない。目の前の幅の広い道路に車がドンドン行き交うだけで道を聞くことすら無理である。時、既に夕暮れとなり、お腹も減ってくる。途方に呉れながら真っすぐ突き進んで歩いたものの全くラチが明かないので、漸く空車で走っているタクシーを捕まえ、当ても無く取りあえず乗り込んだ。「どこへ行く」との相談もないまま、あうんの呼吸で即決定。あそこしかない。一応、事情知ったる旧市街へと我々は向かった。(次号に続く

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by sgraphics | 2008-02-28 08:46 | キューバの歩き方/2006

クバナの歩き方(31)

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 オヤジご自慢のボロボロのアメ車で、新市街の5つ星ゴージャスホテル「Melia Cohiba」に到着。一応ご機嫌な「オヤジと彼の愛車」を、ホテルのドライブウェイで記念の1枚を撮影してみたりもした。一歩足を踏み入れると、指折りの高級ホテルとあってロビーも広々としており、マンハッタンの豪華ホテルと何ら変わりない。逆に何か味気ない気さえする。取りあえずチェックインのためカウンターに向かい、洗練されている受付嬢(どういうワケか全員女性スタッフ)に応対して貰った。カチャカチャ、パソコン端末を軽やかに打つ音が聞こえる。いきなり受付嬢のうなり声「もお〜全然、ダメだわー!」。何か起こっているらしいことは分かった。「あのねー、今、停電なのよー。アナタたちのチェックインが全然できないワケ、分かる? だからさー、暫くの間、後ろのソファででも腰掛けて待ってて」とのこと。「ハア〜?」と言いたいところを堪えて、渋々引き下がった。やれやれ。今日1日しかナイのに……。f0077769_16574264.jpg今日はこれから即、新市街を探索する予定なのだが、一体いつになったら、電気が来るのかさえ分からず、どんどん不安は募る。受付嬢の説明にはなかったが、この日の暑さも異常なほどで、ウナギ上りで上がる気温のため、ホテル内のエアコンをガンガンに使用した結果、こんなコトになった模様。それと、どうやらホテル内部を一部改装中とかで、その作業中、電気使用量がパンクしたとも思われる。約10分ほどで呼び出され「あのね、取りあえずのお部屋をあげるコトにするわね」との返事。「取りあえずの部屋って……?」とは思ったが、「約30分後に、もう1度、チェックインカウンターに戻って来て、ちゃんと手続きするから」と言われ、ご指定の部屋の16階へと向かった。ま、ずっと荷物片手にニッチもサッチもいかない状態でロビーで待たされるよりはマシではある。う〜ん、結構いいんじゃない?この部屋。さすが5つ星。しかし、30分間を取りあえずの部屋でダラダラ待つのも嫌なことだが、何より辛いのは、この取りあえずの部屋が禁煙ルームだったことだ。「オイオイ。こんな中途半端な状態でタバコ1本吸えないなんてマジかよー」てな調子で、少々怒っている連れの表情を何とかすべく、私は部屋を飛び出し、クリーニングレディの詰所を探した。1人の若いレディを廊下で見つけて、何とか事情を説明(もちろん彼女はスパニッシュを話す)すると、理解してくれた様子で「ハイハイ。コレ使って」とガラスの灰皿をくれた。「1603号室の禁煙ルームなんですけど」と何度も繰り返したが、それも百も承知なようで、「うん、うんオッケーね!」とニッコリ。5つ星でも結構、いい加減なんだな、と緊張がとけた。灰皿片手に部屋に戻ると、連れが「下から電話があって、今すぐ来いってさ」と、伝言のみ。「そのくらい、お前が行けよー」という表情は、おくびにも出さず、何も言わず階下へ。受付嬢は「どうかしら今のお部屋? あそこでよかったら、そのままチェックインにしますか?」ということで、可もなく不可もなく「はい。お願いします」と相成り候。ウエルカムドリンク券などを貰い、いそいそと部屋へ戻る。連れに報告を終え、早速ドリンクでも飲もうということで、2人して階下へ。同ホテルは色んな設備が整っており、レストランでの日本食はもちろん、葉巻きクラブなどもある。プールサイド横のバーに陣取り、チケットを見せて、コーヒーとエスプレッソを取りあえず注文。もちろん、オーダーを取りに来たウエートレスには「チケット使用の有無」も抜かりなく聞いた。昼時の時間がとっくに過ぎていたため、どこのレストランやバーも人は疎らで、ウエイターやウエートレスもほっと一息ついたところのようだった。注文のコーヒーがやって1口飲んだところで、どうやら同バーの店長らしき人が「ウエルカムドリンクのチケットは使えない」と言いに来た。疲れと暑さも手伝ってか、何だか、もう説明するのも面倒で、どうなってもイイ気がして「うん分かった。払うからチェック持って来て」と言うと、途端に彼は笑顔に変わり「軽食メニューとかいる?何か食べる?」と聞いて来た。ウンザリしている場合ではない。早くこの場から立ち去り、残り少ない時間を有意義に使わなくては、と気持ちを切り替えて席を立った。
 同ホテル周辺は、言うなればNYのパーク街みたいなモンで整備された道路には街路樹が青々と茂り、道路沿いは各国の大使館が延々と立ち並んでいた。地図を片手につき進むが、地図でみると近いと思っていた目的地が意外と遠く、歩いても歩いても目指すビルの頭すら見えて来ない。不安と暑さでクタクタになる。(次号に続く

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*料金表示はすべて1人あたりの金額です。
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メモ:今回までの合計金額=$1673.89
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CUBA AIR =$322.00/カンクン〜ハバナ(往復)
US AIRWAYS =$354.89/ラガーディア〜カンクン(往復)
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Telegrafo =$172.00(1人分/3泊/旧ハバナ宿泊)
Melia Varadero=$230.00(1人分/2泊/バラデロビーチ宿泊)
Melia Cohiba =$95.00 (1人分/1泊/新ハバナ宿泊)
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キューバでの遊興資金=$500.00(445ペソ)
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2008年2月15日号(vol.160)掲載
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by sgraphics | 2008-02-11 17:05 | キューバの歩き方/2006

クバナの歩き方(30)

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 目覚めると、空に晴れ間が出ているもののシトシト小雨が降っていた。いよいよ台風到来か。雨足が弱いうちに何とかハバナ地区に戻りたい。最後のブッフェでたらふく朝食を平らげて、午前中にチェックアウト。ホテル前からタクシーで、来た時と同じ長距離バスViazulの停車場にいくと、結構な人だかりが出来ていた。だんだん雨が強く降り出し、午前11時40分発のバスは満杯で走り出した。
 午後2時35分ハバナ到着予定のバスは、市内に入るとアチコチで止まり出した。乗客が希望する場所に落としてくれるようだ。地元の地理に不案内な我々は、一体、どこで、降りれば一番宿泊先のホテルに近いのかすら分からない。当初、終着までノンストップだと思っていたので特に気にもとめなかったが、そこからタクシーに乗るなら近い方がいい。何度目かの停車中、取りあえずバスのアテンダントに、ホテル「Melia Cohiba」に行きたい旨を伝えると、どうやら、今すぐ降りろ、ということだった。降りてから、どうすればいいなどのインフォメーションはもちろんナイ。連れに降りるよう告げて、バスの横っ腹から荷物を取り出していると、我々のすぐ後ろにニヤニヤした恰幅のイイ派手なおやじが立っている。「Melia Cohibaだろ〜、任しとけ。さあ、オレ様の素晴らしい愛車に乗りなよ!」。どうやら、一瞬のうちに、このオヤジとバスのアテンダントとの間で商談が成立していた模様。ま、どうせタクシーに乗るつもりだったから、と案内された彼の車に乗り込む。市内は雨も全く降っていなくて、気温もウナギ上りだった。f0077769_2473550.jpg
 自慢するだけのことはあって、このオヤジの車は飛切りのアメリカンクラシックカーだった。よくもまあ、このポンコツで走っているもんだと感心しながらも、車内をキョロキョロ見回す。映画アメリカングラフティさながらの外観はピカピカに磨かれ心惹かれるモノがあっても、車中はやはり頂けない(写真)。メーターももちろん着いていない白タクだ。ま、何事も経験だから、多少暴利な値段を要求されても仕方ない。海沿いのメルコン通りを走っていると突然、車窓から星条旗が何本も大きく掲げられているビルディングが見えた。「えっ?こんなんアリなん?」と驚いてオヤジに聞いてみると、アメリカ大使館だと教えてくれた。ビルの前には軍服を纏った兵士たちが銃を肩に提げて佇んでいる。アメ車がご自慢のこのオヤジは「オレはアメリカは嫌いさ」と、さりげなく付け加えた。
 しかし、何か腑に落ちない。国交もないのに、お互いの大使館は必ず存在する。私が今住んでいるニューヨークのマレーヒルにもキューバ大使館(レキシントン街の37と38丁目の間)がある。ちょっとウサン臭い感じの薄暗いビルで、人っ子一人、出入りするところを未だかつて見たことはない。国旗が目に付くところにあるワケでもないし、気にとめなければ何も知らずに通り過ぎるまでのビルだ。行きがかり上、この前を通りかかる度に思うのだが、ビルの東南の角にある「警備員ボックス」(昔の日本の電話ボックス程度の大きさ)に、必ず1人こっぽり入って座っていて、何やら見張っている。ここでビザ発給手続きなどの業務があるワケでもないし(特別の場合を除いて)、パスポートの更新手続きをしてくれるハズもない。かといって、キューバに亡命したい人が命かながら訪れて、助けを乞うところでもモチロンない。じゃあ一体、毎日、何を守っているのだろう——。(次号に続く

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2008年1月25日号(vol.159)掲載
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by sgraphics | 2008-01-24 02:48 | キューバの歩き方/2006

クバナの歩き方(29)

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 今夜のディナー予約をしたレストラン「Fuerteventura」までには随分時間があったので、私は1人、ホテルを抜け出して、すぐ近くにあるというショッピングプラザ「ラス・アメリカス」まで歩いて出かけた。期待はしていなかったが、閑散としていて客も疎ら。店の人たちにも商売っ気がなく、どの店にもTシャツやタオルなど、在り来たりな土産物が軒先にブラ〜ンとかかっているだけだった。値段を交渉するため、店の扉を開ける気すらしない大きなショッピングモールだったが、モールの通路に品々を広げて商売している屋台には手作りのブレスレットやネックレスなどが並べられてあって、ここが一番、買い物客で賑わっていた。他にも、重厚な扉で威圧している「高級葉巻き店」には相変わらず客が入っていて、皆、宝石のように、ガラスのケースに祀られた「コヒバ」を眺めている。ハバナ旧市街にあるコヒバ工場の直営ショップで買うよりも、この店の方が一段と高級感が増している。じっくり見回っても小1時間も持たないショッピングモール。さして用事も見つからないのでそそくさとホテルに戻った。
「どうだった?何かあった?」と連れが訊く。どうやら、モールに関心があるようだ。結局の所、モールはすべて高いし、敢えて欲しいとも思わなかったので私は手ぶらで戻り、ホテル1階で出品している土産物屋でチェ・ゲバラの黒のTシャツ(写真)を自分用に1枚買って、渋々部屋に戻っていた。「あのさー、ほら、皆が水着の上から腰に巻いている布って…。う〜ん、分かるかなあ? あ〜ゆ〜感じのヌノって、モールにあったあ?」。連れは、どうやらパレオのことを言っているようだ。もちろん、どの店にもパレオなどなかった…と、私は思う。各店内に入って探していないから、有ったかどうか自信はないが、万一有ったとしても、どうしようもナイ、使えない柄で、しかも高額という最悪な土産物になっただろう。しかし、何故アンタがパレオ? 全くイメージがつかない。何を思ってパレオ? と一瞬、己の耳を疑ったが、呼吸を整えて一応、オウム返しに訊いた。「布? ひょっとしてパレオのこと? う〜ん、なかったと思うけど…。で、一体有ったとして、どうすんの?パレオ?」。このギモン、不味かったかも知れない。連れは少し間を置いて「えっ? あぁ…。自分で使う…」と、1オクターブ高い声で言った。えっそっ、そんなバカな…? とは思ったが、ま、彼女か誰かへのお土産だろうことは私だって察しが付く。しかし、男の人って、ホント何にも知らないんだなあと、今さらながら思った。
 奴はイーストビレッジに住んでいて、セントマークスを肩で風切ってギャルズと闊歩することが自慢だったりする40過ぎの気恥ずかしいオヤジである(端から見て)。多分オヤジは、連れ歩いている若いギャルズ以外、何も見ていないんだろうな、と思った。イーストビレッジに限らず、NYの至るところで「パレオ」はよく目にする。しかも安価で、柄や色もめちゃくちゃ選べるほど、半端じゃなくホント豊富だ。こんなクバナの片田舎のモールで、高くて大柄で品の悪いパレオを(もし有ったとして)ゲットして、ホイホイ鼻の下延ばしてギャルズにプレゼントしたとして、一体、誰が喜ぶだろう。そんな既得な女性は、彼の周りには…というか、NYにいない。例えクバナ土産として貰っても、セントマークスで買って貰った方が余程イイ品物が手に入るから、素直に喜べない、演技なしでは「ありがとう」が言えない困ったギフトである。私は一言「パレオならセントマークスで買った方がいいよ」と告げて、そそくさとバスルームに籠った。f0077769_5522812.jpg
 晩餐のため一応、袖があるマシな服装で階下のレストランに向かった。場違いも甚だしい。キャンドルライトにピアノとバイオリンの生演奏。何組もの男女のカップルが正装でテーブルに着いている。何だか笑える。ワインを勧められるが2人ともノーだ。同店は、すべて3コースメニューになっているものの、多分、ブッフェのメインダイナーと同じキッチンで調理されたモノが、ここでは1皿ごと工夫して盛り付けられ、大袈裟に運ばれて来るだけのことで、味は変わらない。バイオリン奏者が各テーブルを回って「何かリクエストしてください」と告げる。どのテーブルにも花とワイン、そして見つめ合って食べているカップルたち。もお〜〜ったく。何とか早く、この場所から消え失せたい我々は、食後のコーヒーすら頼まず、3コースメニューをわずか30分以内で全て平らげ、周りの客はもちろん、ウエイターやウエイトレスをもアッと驚かせて引き上げた。キャンドルライトに照らされてムーディーなナイトを余儀なくされた我々は「黙って早く食べて、デザートはブッフェに行こう」「うん。分かった」。たった、この二言だけである。(次号に続く

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クバナの歩き方(28)

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 台風急接近の情報もどこ吹く風。ハバデロビーチ2日目もピーカン天気だった。朝からしっかり食べて今日1日、しっかり海で遊ぶ。連れは「灼けると肌に悪いし、シミとかできるから…」と、常にTシャツを離さず海でも着込んでいる。ったく、なんていう奴だ、40過ぎの男のクセに。今さらシミなど気にしていられない私は、こんがり焼けて水着のカタチもハッキリくっきり状態になりつつある。肌を焼くことに全く抵抗感のない人生を送ってきた。美白なんていうのも考えたことはナイ。できれば白く戻らないよう、年中常夏、高気圧気候で暮らしたいとすら思っている。連れは自分が見つけたお気に入りのスポットに「隠れ処」を見つけたらしくニヤついている。「○○ちゃん、ちょっと来てみて。こっちこっち!」と得意そうに案内してくれるが、そこは一旦、海に出て、しずしず波打ち際を岩場に沿って歩き、突然、岩場の中にポカンとできた空間だった。
 大きな岩と岩に囲まれた畳1枚分くらいの広さのスペースに、一体誰が持ち込んだのか、横たわれる白いデッキチェアが1脚ポツンと置きざりにされてあった。「ボクの聖域にようこそ!すごいでしょ、ココ!」と子供みたいに目を輝かせて得意満面にデッキチェアに横たわってみせてくれる。「ほらほら、○○ちゃんも横になってもいいよ」と宝島のように接してくれるが、足下には見たこともナイ虫やら海藻が蠢いている。ここで驚いて大げさに「すごいじゃん、すごいじゃん」とキャッキャと喜んであげないとイケナイ…とは思いつつ、足下の虫たちが恐くて、気持ち悪く、早くこの場から逃げ出したい方が先に立つ。胸の内はギャア助けてえ〜と、連れにしがみつきたいほどの気分だが、そこは震えながらも「ふ〜ん、ここねえ〜」と何でもない素振りをしてそそくさと海へと急ぐ。洞窟にこそなっていないものの、岸壁から見ても海側から見ても、その岩場の空間の存在は見えず、確かに隠れ家的スポットであった。f0077769_16131996.jpg
 ずっと海の中で遊んでいるのも退屈になってきたので、私は1人、本格的にプールサイドに戻って甲羅干しすることにした。大抵、カリブ海にあるリゾートホテル内の各プールサイドには、プールに体を半分浸しながら、または水中に設えられたスツールにちょこんと腰を掛けてドリンク類が愉しめるバーがある。ご多分に漏れず、このホテルにもあってバーは大盛況だ。「何か飲もうかな」と思って行くと長蛇の列。「何事?」と中を覗くと、バテンダーが大きなナタを振りかざして汗だくになっている。25年くらい昔、インドネシアで一度試したことがあったが、決して「美味しい」には程遠かった記憶がある「椰子の実ジュース」だ。まだまだ青くて若い椰子の実をパンパンと手際よくナタで切り落とし、中のジュースがこぼれないよう上手く飲み口を作ってストローを差して出来上がり。1個につき結構時間がかかるし、重労働だ。このバーテンダーは一体、1日に何個割っているんだろう。次から次へと椰子の実ジュースをオーダーされ、目を合わすことなく黙々と下を向いたままナタと格闘している。少々申し訳ない気がしたが、2個注文して、多分未だ隠れ家にいるだろう連れの元へと運んだ。
 道々ちょっと試しに飲んでみたが、やっぱり青臭くて生温くて、全然上手いシロモノではナイ。「ま、雰囲気、雰囲気」と、然程喜ばれないのを覚悟して岸壁から連れを探す。いたいた。相も変わらず空きもせず、海にポッカリ浮かんでいる。連れは私の姿を見つけるや否や、ナイことに大きく手を振ってこっちを見て笑っている。「?!?」。どうやら私の手許の椰子の実ジュースが見えているようだ。「○○ちゃんナ〜イス!これ、これっ!チョーいい感じ」とめちゃくちゃ喜んでいる。意外だ。意外過ぎる……。ちょっと苦笑いしつつ顔を引きつらせつつも、一瞬私は連れの喜びように気をよくしてしまった。どうせ期待外れに終わって、後でイヤ〜な顔をされることを知りつつも、連れがこんなに喜んでくれたのは10数年来初めての出来事だった。「隠れ家&椰子の実ジュース」。連れは30年以上ぶりにキャッキャと童心に返って、コバルトブルーに輝く海の中で笑っている。(次号に続く

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Melia Cohiba =$95.00 (1人分/1泊/新ハバナ宿泊)
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by sgraphics | 2007-11-29 16:13 | キューバの歩き方/2006