どこか、間違ってやしないか——。

 今の日本の若い人たちは、所、相手など構わず(選ばず)、絵文字を多用(乱用)しているのだろうか——。
 ここ最近、日本の物件探しで、大手、弱小を問わず、アチコチの不動産斡旋業者とeメールを交わしている。しかし返ってくるメールの大半は「絵文字」付きである。
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先日はお問い合わせいただきまして有難う御座いましたm(----)m
この度は物件お問い合わせ頂き、ありがとうございますっ(=゜ω゜)ノ
この時期は良い物件、安い物件から無くなるのが現状です(>_<)
お問合せ頂いた物件、現在1室のみ空きございます(^v^)
それでは、失礼致しますm(__)m
お待ち致しておりますっω_(゜゜ )//
何卒よろしくお願い致しますm(----)m
ぜひお早目のご来店をお勧めします(^?^)
ご質問、ご相談などお気軽にお問い合わせ下さい☆♪☆
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 感嘆符「!」は極当たり前で、音符「♪」や、星「☆」なども、句点「。」の変わりに用いられている。しかも、問い合わせに対して、取りあえずの礼の意を示す「ありがとうございます」の語尾や、来店を誘致するための「お待ちしております」などの語尾にも、小さな「っ」が入り「ありがとうございますっ、お待ち致しておりますっ」となる。これら営業メールでだ。もし、店頭を訪れて相談する場合、相手はタメ口なんだろうか。それとも客の年格好をみて即時判断するのだろうか。相手が見えないeメールでは「相手が希望する物件タイプや希望する場所」から大体の年齢を想定して、こういう馴れ馴れしい返答になるのだろうか。
 どこか、間違ってやしないか——。

 さらに、帰国するに当たって「ムービングセール」の告知をインターネットの掲示板でしてみた。すると意に反して、結構な問い合わせがあり、その際、不特定多数の見知らぬ人とのeメールのやり取り(時間と手間)もバカにならない。帰国後、再度購入しなくてはならないモノも多数あり、本当にバカバカしいが、それらを持って帰ろうとすると、引越し費用が1000ドル単位で嵩むため、荷物のほとんどが「引き取りに来て頂けるなら無料です」というものだ。また有料であったとしても1ドル、2ドル程度である。それでも引き取って貰うために数回、eメールでやり取りし、日時を決め、モノを1つ1つ丁寧に梱包して、その都度、階下まで降りて挨拶を交わして手渡す。大きいに荷物を運ぶ時は、わざわざコンシアージで「カート」を借りて運んだりと、力仕事でもある。引き取りに来られる全ての人に「どうせ捨ててしまうから」と何かオマケのプレゼントを付けている。しかし、言うところの「モンスターペアレンツ」的な人に出会うのだ。
 一体、どういう了見なのか、全くもって私には分からない。「貰ったお皿が少しカケていました。どうすればいいですか?」「折角、ミッドタウンまで行くので、ぜひ取りに行きたいです」……。この「折角」の意味が分からないし、無料で差し上げているモノに「どうしたらいいですか?」と問われても「お嫌ならどうぞ捨ててください」としか言いようがない。「無料なら引き取りに行ってでも欲しい」と仰るから……という理屈は、どうも通らないようだ。
 どこか、間違ってやしないか——。

 作家、故司馬遼太郎は「竜馬がゆく」などの作品を著した旨を、自身のエッセイ「なぜ小説を書くか」で次のように語っている。太平洋戦争で敗れた時、指導者の愚かさを痛感し「昔の日本人は、もう少しはマシだったのではないかとの思いから記した」と。今、この時勢だからこそ、国の行く末に危機感を抱いてペンを走らせた彼の思いがヒシヒシと伝わってくる。末期的な世界経済の低迷、将来不安がつのる毎日。戦争こそ経験してはいないが、指導者の愚かさを痛感することに変わりはない。昔の日本人は、もう少しはマシだったのではないか——。いつの世も「昔は……」がカギとなる。
 今、宮尾登美子原作のNHK大河ドラマ「篤姫」が人気だという。従来のリサーチからも、到底、大河ドラマには絶対ハマらないとされている10代や20代前半の女性たちが、トレンディドラマを観る感覚で大河ドラマに釘付けになっているらしい。「篤姫」は幕末から明治維新に至るまでの激動の時代を、女性の視点から捉えたストーリーで、フジテレビの十八番「大奥」シリーズの流れの影響で、同番組などの時代劇にもスッと入り込めたのだろう。何でも自分の目で確かめ、考え、何に対しても決して背を向けず、常に毅然と立ち向かう篤姫の凛々しい姿に、ひょっとするとアニメのヒーローを重ねているのかも知れない。
 しかし、世も末、何か、間違ってやしないか——。
2008年10月31日号(vol.177)掲載
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by sgraphics | 2008-10-31 10:27 | エッセイ
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